はじめに:夏の「なんとなく不調」、それって夏バテかも?
梅雨が明けるころ、こどもの様子が少し気になる……
「なんだか食欲がない」「夜なかなか寝つかない」「朝もボーッとしてる」——
そんな小さな“変化”に気づく親御さんは少なくありません。これらは、いわゆる「夏バテ」の兆候かもしれません。
夏バテとは、暑さによって体の水分・栄養・自律神経のバランスが崩れることで起こる体調不良のこと。大人であれば「冷たいものをとりすぎたかな」「クーラーにあたりすぎたな」と気づけますが、こどもは自覚することができず、親が気づいてあげる必要があります。
しかもこどもは、体温調節機能が未発達で暑さに弱いため、大人以上に「夏バテリスク」が高いのです。
本記事では、こどもの夏バテのメカニズムを解説した上で、今日からできる家庭での栄養・生活習慣の工夫をご紹介します。
なぜこどもは夏バテしやすいのか?
1. 体温調節が未熟なこども
こどもは体の表面積が広く、水分の出入りが激しいため、熱をため込みやすく、脱水にもなりやすい傾向にあります(Smith, 2019)。
また汗腺の働きも未発達で、体温のコントロールがうまくできません。熱がこもり、疲れやすくなるのは当然なのです。
2. 食欲が落ちやすい
暑さで消化器の働きが鈍ると、食欲が落ちます。その結果、食事量の不足が進行して夏バテが深刻化するという悪循環が生まれます。
さらにこどもは「好き嫌い」が激しい時期でもあるため、特定の食品しか食べない場合は、栄養バランスが大きく崩れがちです。
3. 生活リズムの乱れ
夏休みに入ると、夜更かし・朝寝坊・運動不足が重なり、体内時計が乱れます。これが自律神経の失調を引き起こし、食欲不振や倦怠感につながります(日本救急医学会, 2024)。
見逃したくない「夏バテサイン」
以下のような様子が見られたら、夏バテの可能性があります:
- 食欲がない
- 寝つきが悪い、または夜中に何度も起きる
- 朝起きられない
- イライラしやすい、情緒不安定
- 下痢や便秘を繰り返す
- 体が熱っぽい、顔がほてる
とくに「食べない」「眠れない」がセットで続くと、成長にも影響を与える可能性があるため注意が必要です。
栄養が夏バテ対策のカギになる理由
栄養素は“チームプレー”で働く
栄養素は単独で働くのではなく、互いに補い合って機能します。だからこそ、特定の栄養素ばかりをとるのではなく、バランスよく摂取することが重要です(Ministry of Health, Labour and Welfare, 2020)。
夏バテ予防に特に大切な栄養素
ビタミンB群
糖質をエネルギーに変える働きがあり、疲労回復にも効果的。
主に含まれる食品:豚肉、納豆、玄米など。
ビタミンC
抗酸化作用があり、紫外線や暑さによるストレスから体を守る。免疫力の維持にも関与。
主に含まれる食品:パプリカ、キウイ、いちごなど。
鉄・亜鉛
成長や神経の発達、免疫機能の維持に欠かせないミネラル。
主に含まれる食品:赤身肉、レバー、大豆製品など。
カルシウム
骨や歯の形成を助け、神経伝達や筋肉の働きにも関与。
主に含まれる食品:牛乳、小魚、小松菜など。
食物繊維
腸内環境を整え、便秘や下痢を予防する。暑さで乱れがちな消化機能のサポートに。
主に含まれる食品:野菜、果物、海藻など。
特にビタミンB群は暑さによって消耗しやすく、意識的に摂取する必要があります(Kennedy, 2016)。
夏でも食べられる!おすすめメニュー6選
夏バテ気味のこどもでも食べやすく、栄養を補えるレシピ例を紹介します。
-
冷やしうどん+温野菜+温泉卵
→ のど越し良く、たんぱく質とビタミンが補えます -
おにぎり+味噌汁+フルーツヨーグルト
→ 発酵食品とビタミンCの組み合わせで免疫力UP -
豆腐+納豆+オクラのねばねばトリオ
→ 食物繊維と発酵食品の相乗効果で食欲増進! -
鶏むね肉ときゅうりの梅しそ和え
→ 疲労回復効果のあるクエン酸でさっぱり -
冷たいポタージュ(かぼちゃ・とうもろこし)
→ 野菜の栄養をおいしく快適に摂れます -
ミニトマト+枝豆+チーズのスティックサラダ
→ 見た目も楽しく、栄養も満点
食事だけで補いきれないときの選択肢 ― Ayo®の活用
「どんなに工夫しても、こどもが食べてくれない」
「どうしてもビタミンやミネラルの不足が気になる」
そんな声に応えるため、 “無味無臭の栄養補助パウダー”です。
【Ayo®】は、1gでビタミンB群・C・D・E、カルシウム、鉄、亜鉛など、こどもに不足しやすい栄養素をまとめて補える設計。味も匂いもないため、ごはんやスープ、スムージーに混ぜても違和感がありません。
※Ayo®はあくまで栄養補助を目的とした食品であり、医薬品ではありません。
忙しい日常の中で「食事だけでは難しい」ときの選択肢としてご家庭で役立てください。
生活習慣を見直そう! 夏休みの理想的な1日の過ごし方
理想の生活リズム例:
✅ 理想的な1日の流れ
- 7:00 起床・朝食
- 軽めでもOK。体を目覚めさせるために欠かさず食べる
- 8:00〜10:00 外遊び・軽い運動
- 気温が上がる前の時間帯に屋外活動を
- リズム運動(散歩・鬼ごっこなど)で体内時計を整える
- 11:30 昼食
- 主食・主菜・副菜を揃えたバランスの良い食事を意識
- 13:00〜14:00 昼寝・静かな読書時間
- 横になるだけでも十分な休息に
- テレビ・タブレットよりも静かな遊びや読書が◎
- 15:00 おやつ
- フルーツや牛乳、ヨーグルトなどで水分と栄養を補給
- 17:30 夕食
- 消化にやさしい温かい汁物とごはんがおすすめ
- 食べ過ぎや脂っこい食事は避ける
- 20:00 入浴・就寝準備
- お風呂でリラックスし、体温を適度に下げて入眠の準備を
- 21:00 就寝
- 就寝時刻を毎日一定にすることで自律神経が安定
✅ 快適な睡眠のために
- エアコンは26〜28℃を目安に設定(冷えすぎ注意)
- 就寝前の冷たい飲み物は避ける
- 白湯や常温の麦茶で、体を穏やかに整えてから就寝へ
こうした一連の流れを意識するだけでも、こどもの体調が大きく変わります。生活リズムを整えることは、夏の体調管理の基本です。
おわりに:夏を元気に乗り越えるために
こどもは、思っている以上に環境の変化に敏感です。そして、体も心も、栄養から作られています。
暑さの中でも元気に過ごすために、今日からできる小さな工夫を始めてみませんか?
「バランスよく・無理なく・毎日少しずつ」——
それが、夏バテに負けない体をつくる最良の方法です。
参考文献
- 日本救急医学会災害医療・熱中症対策委員会. (2024). 『熱中症診療ガイドライン 2024』. 日本救急医学会.
- Ministry of Health, Labour and Welfare. (2020). Dietary Reference Intakes for Japanese (2020 edition).
- Smith, C. J. (2019). Pediatric thermoregulation: Considerations in the face of global climate change. Nutrients, 11(9), 2010. https://doi.org/10.3390/nu11092010
- Kennedy, D. O. (2016). B vitamins and the brain: Mechanisms, dose and efficacy—A review. Nutrients, 8(2), 68. https://doi.org/10.3390/nu8020068
執筆者:山田 涼(合同会社ニュートリベース CTO/薬学・栄養学研究者)
東北大学薬学部・東北大学大学院 薬学研究科修了後、味の素株式会社バイオ・ファイン研究所にてアミノ酸などの機能性素材に関する研究に従事。創薬科学の知見を活かし、栄養と身体機能に関する基礎研究に取り組む。2024年より合同会社ニュートリベースCTOとして、科学的根拠に基づいた製品開発を推進し、無味無臭の栄養パウダー「Ayo」の技術開発・監修を担う。